私は主婦として生活する中で、漠然と子育てが終わったら自分のやりたいことを仕事にしたいと思っていました。しかし、がん発症と兄の突然死を経験したことで私の生きる役目について考え、不安や悲しみ、辛さを感じている人の役に立ちたいと思うようになりました。そこで患者会や自治体でがんピアサポーターのボランティアをすることにしました。その頃、偶然目にした相原先生の著書『臨床アロマセラピストになる』を読んで、「これを相原先生のもとで勉強したい!」と思ったのです。子供達の教育費がまだかかるときでしたが、「チャンスは貯金できない、私の人生も大事にしたい。」と決心しました。この決断を後悔したことは一度もありません。
多分野にわたる学びで、心の持ち方も変わり、生き方も変わったと思います。現在は訪問看護ステーションに併設されたナーシングホームで、介護職として勤務し、ケアプランのひとつとしてアロマケアを行っています。ここでは病気や障害をもった方が住み慣れた場所で、その人らしい暮らしを継続でき、最期まで穏やかに過ごすことができるよう支援します。医療ニーズの高い利用者様が多い中、HCPSで学んだケアマインドやホスピタリティ、アロマセラピーの知識と技術を活かしながらケアに努めています。通学中には母が余命宣告を受けました。入院先のチャプレンから「病気によって身体と心に傷を負い、誰からも忘れ去られたように感じ、身動きの取れないことに嘆く孤独な時でも、神様は必ずあなたを見つけだし光を照らし救いの手を伸べてくれるのです。」と聖書を引用した講話の後、母が「あなたの選んだ道は間違いないね。だって、同じことでしょ、孤独に手を差し伸べるって。」と涙を流しながら私の手を握ってくれました。母が私の仕事に対してそう感じてくれていたことは娘として、セラピストとしてとても嬉しく、HCPSで学んで本当に良かったと思いました。
今後は介護福祉士も目指し、より一層の安楽・安寧と『私』という存在が日常生活に安心感を与え、癒しとなるケア人になれるように成長していきたいです。そしていつか自然あふれる、ひっそりとした場所に誰もが心と身体を休息できる癒し処をつくりたいと思っています。サロン名は亡母が名前をたくさん考えてくれたので、どれを採用するかはお楽しみにとっておきたいと思います。
受講中は『考えて、感じて、実践し、振り返り、前を向いて』の繰り返しでした。先生からの「背伸びをする必要はありません。自分にも相手にも正直であり真摯であることが大切です。」という言葉を心に留め、アロマケアの本質を最後まで学ぶことができました。できると信じて進めば道は開けます。