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論文より「精油は飲まない」

「臨床アロマセラピー」
アシュリー・J・ファーラー , フランシスカ・C・ファーラー

 

Clinical Aromatherapy
Ashley J Farrar , Francisca C Farrar (2020)
Nurs Clin North Am. 55(4):489–504.

 

この論文は、2020年看護専門誌『Nursing Clinics of NorthAmerica』に掲載された総説です。

 

まず驚いたのは、序文で“アロマセラピーは、世界中に急速に広まっており、米国国立補完統合医療センター(NCCIH)によれば、米国人はアロマセラピーに年間302億ドル以上を費やしており、世界市場は2050年までに5兆ドルに拡大すると予測されている”とあることです。この数字は、人々がアロマセラピーの効果をかなり認識し始めていることを示していると思います。

 

また、ナイチンゲール、ペプロウ、ロジャーズ、ロイ、ワトソンといった看護理論家の理論的枠組みが臨床アロマセラピーを支持しており、臨床アロマセラピーが信頼できる補完代替療法であることを裏付けているとしています。臨床アロマセラピーが米国で看護技術と認められてから20年近くが経過し、着実に看護の現場にも根付いてきたことが伺えます。

 

ただ、この論文の中で精油の使用について危険性を指摘した部分がありました。

 

2020年と言えば、ちょうど新型コロナウイルスの脅威に人々が怯え、有名人の訃報に強く身構えたときだったと思います。米国でも人々が助かりたいと願い、様々な健康情報を試していたようです。その中に精油を内服し、危険な状態になったという事例が報告されていましたので、紹介しておきます。

 

 

母親と二人暮らしをしていた20歳の女性は、精油の販売業者から、COVID-19の予防や治療に精油が効果的だと聞かされ、致命的なCOVID-19ウイルスから身を守るため、彼女は販売者に勧めに従ってユーカリ精油を週に2回経口投与したそうです。

 

さらに感染の恐ろしさから逃れるために8オンス(226g)のユーカリ精油を半量飲んでしまい、母親は娘が嘔吐し、よろめき、ろれつが回らなくなっているのを発見したのです。救急搬送された娘は、中枢神経系の抑制を伴う中毒を起こし、口、喉、胃に化学熱傷を負ってしまいました。

 

 刑事事件となったこの事例を受け、この論文では精油の使用に関して、“資格を持っている臨床アロマセラピストに相談すること、専門知識のない精油販売者のアドバイスを鵜呑みにしないこと、精油の安全な使用法は内服しないこと”と注意を促しています。

 

また経口毒性症状としては、“口や喉の灼熱感や腹痛があり、中枢神経症状としては運動失調と呼吸抑制があり、高用量では深い昏睡のために鼻腔挿管が必要になることもある。毒性量で死亡する可能性もある”と述べ、正しい使用を呼びかけています。

 

Aihara‘s eye
 日本アロマセラピー学会では、精油の経口投与は危険を伴うため禁止しています。精油は嗅ぐことで十分効果を発揮します。今回のユーカリも嗅ぐことで去痰、鎮咳、肺の活性という素晴らしい効果が得られます。

 

患者さんの命を守る看護師や臨床アロマセラピストだけでなく、誰もが気をつけなければなりません。精油は飲まない、飲ませないことを肝に銘じてください。

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